踏み上げ祭りの始まり
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貸借倍率が0.5を割っておれば、株価急騰による買い戻しで、「踏み上げ相場」が期待できる。
そのため、浮動株数が少なく、貸借倍率が悪化したGダイニング株に、踏み上げ狙いのトレーダーが集まった。
いつもは株価が吹き上がった後に、すぐに下がってしぼんでしまうのに、そのあとも買いが途切れず、買いの単位も徐々に大きくなった。
大引け前には大きな買い上がりも起こり、なぜか大引け後の貸借倍率も0.27に下がって「貸借良化」していた。
株価が上がれば、それに連れて信用買いも増えるはずだから、貸借倍率が良化するというのはおかしい。
ところが結果を見ると、貸借倍率が良化したわけだから、カラ売りが増えると同時に、信用買いの売り埋めも進んだらしい。
一方、大口の買い手は現物で買っていて、これは貸借倍率を良化させるために、明らかに意識的にやったことらしい。
そしてこの流れは、次の日にさらに大きくなった。
初日の5分足チャート(ストップ高1日目/木曜日)
この日は多少のギャップアップで始まり、値上がり率ランキングに載ったことで、デイトレーダー達がドンドン集まって、株価が上昇した。
そして売りが出て株価が下がるたびに、5分後にはそれを買い上げられて、ほどなくストップ高に貼り付いた。
ところがストップ高になるほどの好材料はないので、徐々に売り物が増え始め、ストップ高から、たびたび剥がれた。
普段はさほど人気がない銘柄であるし、特に何か材料が出たわけでもないので、カラ売りが得意なトレーダー達が、大儲けのチャンスとばかりに、ストップ高の高見からカラ売りを続けたらしい。
そして株価が大崩れしたところで買い戻し、いつものように小銭稼ぎしようとしたらしい。
ところがこの日は、ストップ高から剥がれても、15分もすると買いが勝って、またストップ高に貼り付くという繰り返し。
その結果、この日の大引け後の貸借倍率速報は、 0.06まで良化した。
どうやらこの日も、ストップ高で湧いて出たカラ売りや、信用買いの売り埋め玉を、現物で買い集められていたらしい。
そして大引け後に日証金から、「貸株注意喚起」が出された。
つまりストップ高初日で、浮動株以上の株数が、踏み上げ狙いのグループに買い占められたわけだ。
踏み上げ祭りの終わり
今はネットで株を売買する時代だから、大きなチャンスがありそうな株には、あっと言う間に様々な投資グループや、デイトレーダー達が集まってくる。
だから、貸借倍率が大きく減り、貸借良化が起こっている銘柄、カラ売りが積み上がっていて、踏み上げられそうな銘柄には、あっと言う間に買いが殺到する。
新興株や2部株の中には、時価総額が50億未満で、浮動株が少ない銘柄が多いため、10億円もあれば、株価をコントロールできるだけの株の買い占めも可能だ。
その結果、ストップ高初日のカラ売り残は、約115万株にも上った。
そして大引け後には日証金から「貸株注意喚起」が出されたから、用意されていた貸株の大半は、既にこの時点で貸し出されてしまったらしい。
次の日も寄りついてすぐにストップ高に貼り付き、貸借倍率 0.06、売り残も約168万に増えた。
昼休みに「売り禁」が発表され、逆日歩1円。
さらに大引け後には、「増し担」が発表された。
需給相場株・2日連続ストップ高(3日目/金曜日)
翌日は寄らずのストップ高となり、大引け後の貸借倍率 0.07 (売り残、約160万)祭りの終わり(4日連続ストップ高から大下落/火曜日)
そうしてカラ売りを持ち越すと逆日歩2円が3日分がつく火曜日に、ストップ高はりつきから、ストップ安まで売られるという急展開。
カラ売り側が、なんとしても買い埋めしたい日を狙って、ここ数日、売り惜しみしていた株をドーンと売り出して、高値で買い戻させたということらしい。
そうしてこの「踏み上げ祭り」は終了した。
売り禁の後、2日連続ストップ高だから、買い戻しはえらい高く付いただろうね。
くれぐれも早いうちの損切りか、ヘッジが必要だ。