逆日歩に「買い」なし
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逆日歩(ぎゃくひぶ)とは、貸株が不足したときに、貸株利用者全員に課せられるプレミアム料(加算金)だ。
逆日歩が付くと、カラ売りを続ける人は、逆日歩を払わないといけないのがルール。
これは制度信用で株を借りている場合だが、証券会社の一般信用でカラ売りする場合も、貸株料は毎日変動するので、バカにできない。
一方、逆日歩を払いたくない人は、高値で株を買い戻すことになる。
急騰で含み損が発生しているはずだが、株価が上昇トレンドに入っていると、まだまだ含み損が増えていく可能性ので、ここであきらめて損切りするわけだ。
というのも逆日歩というのは甘くない。
たとえば逆日歩1円なら、一株当たり1日1円の貸株料が上乗せされてしまう。
1,000株ほどカラ売りしていれば、毎日1,000円ずつお金がとんでいくし、1万株だったら、毎日1万円ずつ減っていく。
また火曜日の大引け時点で、逆日歩のついたカラ売りが残っていれば、3日分の逆日歩を払わねばならない。
これは火曜日の売買の受渡日は金曜日で、次の受渡日は月曜日以降になって、ここで土日を挟むためだ。
貸株料は、土日祝日も1日に数えて加算されるので、火曜日に逆日歩がついたカラ売り株を持ち越すと、逆日歩も3倍払うのがカラ売りのルールになっている。
なので週明けの月曜日・火曜日あたりは、逆日歩の付いたカラ売りの買い戻しが増えて、株価は下がらないはずなんだけど、結構下がるね。
逆日歩に倍率適用。カラ売りの恐怖とは
逆日歩は、貸株不足の時に課せられるプレミアム貸株料だが、その上がまだある。
というのも株不足が深刻になると、逆日歩はさらに2倍4倍8倍10倍と「倍率適用」で騰がっていくのだ。
最高倍率の10倍適用ともなると、逆日歩1円で1,000株のカラ売りでも、毎日1万円が飛んでいく勘定になる。
これは1日当たり2~3%ずつ、含み損が膨らんでいくことに相当する。
たとえば300円の株を1,000株カラ売りしたら、信用売買のスケールとしては30万円だが、そこから毎日含み損が1万円ずつ増えて、3日で10%も損してしまう計算になる。
そのため、逆日歩が倍率適用になると、株を買い戻す動きがさらに激しくなる。
資金が減ると追証(おいしょう)という追加の保証金も入金せねばならないし、何よりも財産がみるみるなくなるからね。
ところが浮動株は大口投資家や仕手筋に買い占められているので、売り物が少ししか出てこない。
売りが少なくて買いが多いから、あっと言う間に売り切れてストップ高になる。
つまりカラ売り側は、かなりの高値で株を買い戻さなくてはならなくなるし、いきなりストップ高に張り付いたりしたら、買い戻したくても買い戻せない状態になる。
そして何もできない状態で、含み損だけが毎日ドカンドカンと増えていくわけだねこれはもう恐怖そのものでしかない。