需給相場
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取引が殆ど無い閑散銘柄が、ある日突然ストップ高になり、翌日もドンドン株価が上がる。
何か画期的な技術を開発したとか、新しい業態に進出したとか、そういう材料があれば、これは頷ける。
しかしそういう強い材料もないのに、どんどん株価が騰がる場合もある。
こういうのを「需給相場」という。
需給相場というのは、材料がないのに株価がドンドン動く相場のことで、たいていの場合、仕手筋と呼ばれる投資グループが絡んでいることが多い。
もちろんただ株価をつり上げただけでは、他の投資家が集まってこない。
普段から取引が少ない銘柄の場合、値動きをウォッチしている人も少ないから、値上がり率ランキングを見て、買いに入るデイトレーダーしか付いてこない。
なのでこんな形の5分足チャートができる。
材料がなくて値上がりしている株の5分足チャート
値上がり率ランキングに出てきたので、とりあえず買いつけてみたが、調べてみても値上がりする材料がない。
こういう場合は、こんな感じで、ダラダラと右肩下がりの5分足チャートになる。
通常はこういう動きをするのが普通で、だから大した理由もないのに、株価が大幅上昇していたら、仕手筋が絡んでいる可能性が大きいわけだ。
ではどういう銘柄が需給相場で、大幅上昇しやすいのかというと、「浮動株(ふどうかぶ)が少なく」「信用取り組みが悪化している」という銘柄らしい。
「浮動株」というのは、株式市場で実際に取引されている株数のことで、中小企業の場合は、発行株式数の半分以下であることが多い。
というのも株式の過半数を買い占められると、企業が乗っ取られてしまうため、過半数を創業者グループが押さえて、市場に出さずにキープされるからだ。
浮動株が支配され、カラ売りが踏み上げられる
仕手筋に狙われて需給相場になるのは、浮動株数が少ない銘柄で、信用取り組みが悪化している株だ。
浮動株数とは、実際に市場で取引されている株の数のことだ。
たとえば発行済み株式数が、1,000万株あったとしても、浮動株比率が20%しかなければ、200万株しか動いていないことになる。
株価が500円で200万株なら、10億円あれば買い占められるので、大口の投資家が集まってくると、株価の操作もある程度可能になる。
なので浮動株が少ない銘柄は、仕手グループに狙われやすい。
一方、信用取り組みというのは、信用買いと信用売りのバランスのことで、「貸借倍率」という数値で表される。
貸借倍率(たいしゃくばいりつ)は、(信用買い)÷(信用売り)で計算される。
1.00なら信用買いと信用売りがほぼ同数。
貸借倍率0.10なら、買いに対して、売りが10倍になっていることを示す。
貸借倍率が悪化すると、信用売り(カラ売り)している人に対して、逆日歩(ぎゃくひぶ)というプレミアムが課せられて、株の買い戻しを促される。
通常の信用取引では、株を買う金を借りたり、株を貸してもらうための費用は、単なる金利である。
ところが株不足が発生すると、貸株利用にプレミアム費用が上乗せされて、株を制度信用でカラ売りしている人全員に、この逆日歩が課せられるのがルールだ。
なので逆日歩がついた株をカラ売りしている人は、逆日歩を払ってカラ売りを続けるか、株を高値で買い戻すかの二択になる。
つまり株価が急騰して逆日歩がつくと、株を買いたい人も増えるし買い戻す人も増えるので、株価がさらにがどんどん上がっていく。
こういう状態を「踏み上げ相場」と呼ぶ。
逆に言うと、カラ売りが多い銘柄の株価を急騰させることができれば、高値で株を売り抜けることができる。
だから仕手グループは、貸借倍率が1.00を大きく割る銘柄を狙っているというわけだな。