全面安商状のさなか、逆行高下銘柄とは

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日経平均株価が暴落するとき、2部銘柄や新興株まで、連れ安になる場合がある。

 

こういうときは全面安商状だから、逆行高になっている銘柄は、かなり強い材料を持ってるはずだ。

 

東証一部市場だけでなく、二部市場や新興市場まで、全面安になるというのは滅多にない。

 

というのも一部銘柄を売買するのは、大企業や機関投資家などの超大口投資家が主だが、彼らは二部や新興市場株には、投資することがないからだ。

 

だから通常は日経平均が暴落しても、2部株や新興株はさして下がらない。

 

逆に一部市場から資金がシフトして、新興市場が賑わうことだってよくある。

 

なので、一部株も新興株も全面安の商状になるのは、本当にヒドい状態で、それだけに逆行高銘柄は貴重だ。

 

リチウム電池の正極材の話題で逆風の中2日連続ストップ高になった、田中化学研究所(4080)も、そんな貴重な逆行高銘柄だった。

 

この田中化学研究所とは、福井県にある二次電池(バッテリー)の正極材メーカーだが、ここ数年、ずっと赤字が続いていた。

 

というのもスマートフォンやノートパソコンなど、バッテリーが必要な商品の伸びが鈍り、売り上げが伸びなかったらしい。

 

その一方で、この分野は競争が激しく、研究開発費がかさばってしまうため、毎年十億円前後の赤字を出していた。

 

そこで田中化学研究所は、住友化学に第三者割当増資を引き受けてもらい、資本提携して経営を続けることになった。

 

住友化学は、リチウムイオン二次電池の、プラス極とマイナス極の間に挟むセパレーター(絶縁体)を作っており、正極材も手がけていたのだ。

 

そして前年の11月末には、テスラとパナソニックがネバダ州に建設予定の、大規模電池工場にも参加を発表しており、田中化学研究所への出資・資本参加は、2020年までの数百億円にも上る投資の一環だった。

 

これをマイナーな化学工業新聞が取り上げたことで、日経平均が、3,000円を越える大幅下落のさなか、2日連続ストップ高という逆行高銘柄となったわけだ。

 



自動車で使われるとなると…

日経平均が6日連続下落で、2万円台から1万7,700円台まで3,000円近くも下げるという大暴落。

 

そんな流れに逆行するかのように、2日連続でストップ高になった田中化学研究所(4080)。

 

東証一部から新興株まで、全面安商状となっているさなかで、逆行高を演じた材料は、リチウムイオン二次電池の正極材という、非常にマイナーな話題だった。

 

リチウムイオン二次電池というのは、スマートフォンやノートパソコンに使われる充電可能な小型バッテリーのことなのだが、充電容量が1.7倍になる材料を量産し、2年後の2017年から出荷するという。

 

充電容量がナントカ倍になる素材のニュースは、実は他の企業からもたくさん出ているのだが、今までなかなかテーマとしては取り上げられなかった。

 

というのもスマートフォンやノートパソコンの電池の寿命が7割伸びたくらいでは、大して売り上げが伸びない。

 

こういうのは置き換え需要であって、今ある製品の一部が置き換わるだけ。

 

売り上げが現在の何倍にもなるわけではないから、市場もほとんど反応しないことが多かった。

 

さらに電池素材開発部門は、非常に競争が激しくて採算が合わず、開発から撤退する化学企業も多かった。

 

つまり多少のことでは、利益など出ない分野だと思われていたわけだ。

 

ところが田中化学研究所の正極材が、電気自動車に使われるらしいと伝わると、一気に注目を浴びるようになった。

 

リチウムイオン電池はコンパクトだが、高価な上、発熱して発火しやすいと言う問題があり、今まで電気自動車には搭載されていなかった。

 

ところが電気自動車の航続距離を伸ばすため、リチウムイオン電池が採用され始めたのだ。

 

電気自動車に使われるとなると、需要はスマホやノートパソコンの比ではない。

 

今までの何百倍や何千倍もの需要がある。

 

そのため、リチウムイオン電池のセパレーター(絶縁体)を生産する住友化学は、2020年までに生産能力を3倍にするため、数百億円もの投資を計画していた。

 

さらに今回、田中化学研究所を、正極材の共同開発パートナーとして選び、正極材の売り上げも伸ばそうとしていたわけだ。

 

テスラとパナソニックによる工場建設のニュースは、実は一年も前のニュースだったのだが、それが全面安商状のさなかに掘り返されて、ここへ来て、ようやく点と点がつながったわけだ。

 

自動車の新しい基幹部品に採用されるのなら、確かに全面安商状でも逆行高になって当然の材料だったってことかな。

 


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